街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー




「……そ、わかった。

でもいまいちよくわかんねーな。
過去の自分を許してやるために留学?
今の自分と戦うからってのはわかるけど…」


「あー…」


「そういや前に元カレと会ってたよな。
あれは?留学するって報告?」


「えー、と…」


「……なんだよ。」


「…大智には、サヨナラを言いに行ったの。
ずっと言ってなかったから。」


「え、好きじゃねーの?」


「は?」


「え、いや…てっきり好きなのかと…」


「ふふ、好きじゃないよ。
それはもう完全に過去の話。

前に進むなら、まずはあそこからって思ったの。
ちゃんと、本気で好きだったって伝えたの。
好きになったことを後悔してないし、大智を好きになった自分も嫌いじゃない。

むしろ、成長させるきっかけをくれてありがとうって
そう言っただけ。」


なんだ…そっか、よかった。

……って、あれ?
じゃあ好きな人っつーのはどうなったんだ?


「…さっきの、過去の自分を許してやるために留学ってのは?」


俺がそう聞くと、心優はまた下をむいた。
かなり真剣そうに、だけどさっきと違って深刻そうな表情はしていなくて

とりあえず、悪い話題は終わりか?と安堵のため息を漏らして前を向くと


「あ、すっげ……
おい、心優見てみろよ。」


「え?」