「でもさ、お揃いのを私たちがつけてたら、みんな私たちが別れたなんて気づかないだろうね。」
「……いいんじゃね、別に。」
「えっ…、いいの?」
「なに、意外?
前言ったじゃん。俺は、別に女と遊びたいわけでもねーの。
今はもう前みたいに適当に女とヤるほど、俺は腐ってねぇよ。
だから俺は別に勘違いされたままでもいい。」
「……そっか。大翔も成長したね~。」
もう、俺は元には戻らないし、戻れない。
心優がいなかった頃の俺には絶対に戻れない。
こんないい女がいたのかって、こんなに居心地がいい女がいたのかって
俺は初めて知ったから。
いつか、昔置いてきたものをこいつとならまた見つけることができるのかなって
そんな気がするんだよ。
「……あ、そういえば心優はいいのかよ。
智樹と青木以外はたぶん別れたって知らねーし…
その…好きな人、とか…」
"好きな人"
ずっと避けてきたそんなワードを、ついに俺から発してみた。
……のに、
「あぁ、うん。いいよ。
私の好きな人は、私たちが別れたって知ってるから。」
心優はなんの躊躇いなく、そう言った。
一応元カレの俺に、躊躇いなく。
たったそれだけのことで、"あー、俺なんてその程度だったんだよな"って思い知らされる。
「……あの、さ
心優の好きな人って、誰?」
「はは、言うわけないじゃん。
秘密だよー!」
そういって笑う心優はもうすっかり普通の女子高生で
そういえば俺の嫌いな笑い方なんてもうずっとしてなくて、女子高生らしく笑う心優が、やっぱ好きだ。
俺の横で笑う、心優が。
ずっと見たかったこの笑顔が、俺だけのものだったらいいのにな。


