「……七瀬くんは、仁科さんと別れちゃったんでしょ?」
「あー、心優から聞いた?」
「うん。
お互い好きでもないのに付き合ってたから、別れたあとも別に気まずくもないよ、なんて言ってた。」
「……ふーん。」
ま、俺は少しだけ気まずさもあったよ。
だけどあいつがいつも通り…というか、がっつり切り替えて俺に接してきたから
俺もそれに合わせただけだわ。
「七瀬くんはそれでよかったの?」
「……え、なにが?」
「別れちゃって。
なんとなく、七瀬くんって仁科さんには特別な感じが伝わってくるから。」
「んー…はは、俺もよくわかんねぇ。
……まぁ、今は今で楽しいしって感じ。」
「ふぅん、そっか。
まぁ、お互いがそれでいいならいいかもだけど
……後悔だけはしないでね?
今は楽しくても、明日も楽しいなんてわかんないんだし、明日になってから後悔しても遅いし
今がどれだけ続くかなんてわかんないんだからさ、それなら『今は今で楽しい』で片付けないで、もっと精いっぱい尽くせばいいのに。
……なんて、ね。偉そうだよね。」
「いや、その通りだよ。」
今がどれだけ続くかわからない、か。
本当、その通りだよな。
父さんも母さんも、まだ明日が続くとばかり思ってたのに
いつの間にか…もういなくなってたんだもんな。
━━明日になってから後悔しても遅い、か。


