街が赤く染まる頃。ー雨 後 晴ー




「━━あ、ここかぁ。
紅イモタルト…」


勇気振り絞って手首つかんだけど、そんな目当ての店はすぐそこにあって

……この手はもう話さなきゃダメなのか…?


「あ、大翔試食あるよ!」


そんな悩みなんか悩んでる暇なんかなく、心優は俺から離れていって
さっきまで感じてた温もりはなくなり、俺の左手は寂しく空になった。


「大翔?食べないの?」


「……あぁ、食べる。」



━━俺、ちゃんと笑えてる?




「ん、美味しいよ。」


「……さんきゅ。」


普通に手渡されたタルトを受け取るだけ。
たったそれだけのことなのに、心優に触れる緊張と、心優に触れていいかの不安と、心優に触れる喜び
いろんな感情がごちゃ混ぜになっていた。


「どう?美味しい?」


そう聞いてくる心優の笑顔ですら、まっすぐ見るのも辛いくらいにな。


「……あー、見た目のわりにうまいかも。」


「はは、見た目のわりにって。」


「だって色があれじゃん?」


「まぁ、わかんなくはないけどさ。」


智樹がいたときは意識しないで見れた心優の顔も、二人きりになると見れなくて

二人きりで外で会うなんて、別れてから全くなかったから
どんな顔で笑ってたのかとか、心優の顔を見ていいのかとか

なんかもう、わけがわからない。


どうしていいのか、わからなくなる。



「そういえばさ」


「ん?」