「なぁ、大翔」


「あー?」


「お前さ、仁科ちゃんのこと、好きなんだろ?」


「はぁ?なんだよ、急に。」


「別に。ただ、いつんなったら本音ぶつけんのかなと思っただけ。
お前は佐伯と別れたとき、佐伯が変わったっていってたけどさ
大翔も変わったよな。親父さん死んでから」


「……は?」


「人と深く付き合うの、やめたよな。
親父さんに対しても後悔してるからか知らねーけどさ
後悔したくないからって本音ぶつけんのやめんなよ。

俺にもな。」


「……別にそんなんじゃねーよ」


「言って後悔することもあるだろうけど、でも
言わねーで後悔することもあるのを忘れんなよ」


珍しくすげー真剣にそういう智樹に


「……似合ってねーよ」


俺はそういってデコピンを食らわせた。


「いってーな!
俺はお前のことを思っていってやってんのに!」


「はいはい、覚えとくわ。
支度できたし行くか」


「ったく、本当にわかってんのかよ」


5時半過ぎ
まだ少し早いけど許容範囲。

つーことで、俺らは最低限の荷物の入ったリュックだけ背負い、部屋を出た。


でかい荷物は昨日持ってったしな