後ろには、今この公園に入ってきた私服姿の喫茶店のお兄さん、"大智"という名の、心優の元カレ。
その姿を見て、俺は思わず笑ってしまって、また心優の方に振り返った。
「好きなやつ、いるって言ってたもんな。
よかったじゃん。」
「え、大翔ちが「じゃあまた学校で」
失恋、なんてしたことがなかった俺だから
たったそれだけのことなんだけど、もうここにはいられなくて
心優とこいつが一緒にいるところなんて見たくもないし
あんなに苦しそうに話してくれたのに、結局こんなに早くこいつに会うことができるようになってる心優に腹が立って
心優のためにって思って言ってきた事とかが全部無駄に思えてきて
……なのに、まだ心優のことが大好きな俺がいるから
早く嫌いになればいい
そう思うのに、そんなことができない俺もいるし
心優のことを悪者にすればいいのにできない俺もいるし
それなら、こんな想いを教えてくれたのは心優だと感謝して
今後の心優の恋を応援するべきなんだろうけど
本当は心優の幸せを願うべきなんだけど
……俺にはそんな強さはまだ備わってないみたいで、他の男を見る心優なんてまだ見ることはできなかった。


