それからも、俺と心優はいつもと変わらず普通に会話もするし、笑顔にもなる。

だって、そうでもしていないと俺が本気で惚れてたんだって、心優にバレそうで。
それがバレるのが嫌で。
恋愛ごときに傷ついてる俺なんか、知られたくなくて

平然装った表情張り付けて、心優が俺に向ける顔が智樹と一緒になったことに
ひとり、虚しく悲しくなっていた。


「━━じゃ、俺急ぐから帰るわ」


そして放課後、智樹はバイトだからさっさと帰って行って、この席に俺と心優が残されたけど


「じゃ、私も帰るしバイバイ。」


心優も、俺のことなんか気にすることなくさっさと帰っていった。

取り残された俺だけが、ぐだぐだと帰り支度をしていた。


「大翔今日は一人ー?
暇ならカラオケでも行かねー?」

なんて、お誘いの声も来たけど
歌を歌う気分には全くなれねーし、しかもそこに女もいるとなるとさらに嫌悪感。


「……金ないしやめとく。
お前らだけでいって。」


この数週間、
……いや、約1ヶ月間。俺は心優ばかりを見てきたから、他の女がだるくて仕方ない。

あんな居心地のいい女は他に出会ったことがなかったから。


「さてと、俺も帰るかな」


久しぶりに、俺は一人で帰路につく。
校舎さえ出てしまえば数分でアパートにつくのに、ここ最近はいつも心優がいたから

なんか……隣が寂しいってこういうことを言うんだな。