「でもさ、昨日俺と話した感じだと、仁科ちゃん
大翔と別れる気なんてなさそうだったのにな~」


「え、そうなの?」


「あぁ、うん。
実際、俺が呼び出された理由も大翔の話だったし。」


「……俺の話って、なんなわけ?」


「それは言えねーけど。」


「んだよ、使えねー」


……にしても、だよ。
男二人でこそこそとなに話してんだか…
となりの席が心優だからしかたねーんだけどさ…


「でも昨日の様子じゃ、別れるなんて想像できねーわ。」


お前はまだそれを言うか。


「……まぁ、明日のことなんて誰にもわかんねーしな。」


なんなら、そういう予想天外なことが起きた方が楽しいだろ。
人生なんてそんなもん。


「ま、いいや。
とりあえず心優さん。」


このままなんて心優と話せなくなるなんて絶対に嫌だったから
勇気を出して、俺が傷付いてるなんて悟られないように

……頑張って、心優に話しかけた。


「……なにそのいかにも宿題写させてみたいな声のかけ方。
もっと他にないの?
どうせ英語でしょ?ハイ。」


「よくわかってる!」


そしたら心優もいつも通り返してくれて、
……だけど、前までは答えを見せてくれる、じゃなくて勉強を教えてくれたから
なんか、ちょっと近づけなくなった

そう、感じてしまう。


「……本当に別れたのかよ…」


そんな声が後ろから聞こえるけど
俺は、そんな現実を受け入れるしかなくて

もう必死に宿題を写すことに専念するしかなかった。