「だーいーとっ!!」


そんなわちゃわちゃしてた俺らだけど、突然俺を呼ぶ女の声が校門の方から聞こえてきて、財布と映画のチケットを握りしめたまま、校門に目を向けた。


「……美空。」


すげー気分が悪くなる声だな、なんて思えばそこには元カノの美空がいて
俺の機嫌はジェットコースター並の急降下だった。


「来ちゃった!」


「…なんか用?」


「うわー、つめた。
前はもっと優しかったのに~」


「用がないなら俺はもう行く。
心優、行こ。」


「あぁ、その子が噂の新しい彼女?」


「……噂のってなに」


なんでお前が知ってんだよ。


「智樹が言ってたから。
大翔にはもう新しい女がいるから、って。」


……あのバカ。
なんでこいつに言うんだよ。
本気でバカなんじゃねーのか?そういうとこ。


「…だとしても、美空にはもう関係ねー話だろ。」


こんなやつと今さら話すこともないし、話したくもないから
俺はさっさと歩き出した。

もちろん、後ろに心優の気配を感じながら。


「大翔も変わったね。
前はそんな風に、彼女の前を歩くことなんかなかったのに。」


……は?


「それとも

本当は付き合ってなかったりして。」


その一言に、俺は思わず足を止めた。