すごく楽しかった。
渚桜といられるだけで、何だって笑っていられたんだ。
『じゃなー、みんな』
満足に遊んだ私たちは町内に流れるチャイムを合図に解散する。
公園からそれぞれの家に向かって歩き出した皆を見て、私は志賀くんと歩き出した。
仲良くなるまでは知らなかったんだけど、私の家と志賀くんの家はたったの4軒違いで。
遊びから帰る時はいつだって一緒だった。
『今日も楽しかった!誘ってくれてありがとう、志賀くん!じゃーね、また明日っ』
公園からそう遠くない私は家に入ろうと志賀くんに声をかける。
玄関に向かおうとした私の腕を志賀くんが掴んだ。
『…志賀くん?』
不思議に思って家へ入ろうとした足を止めると
『俺、江藤が好き!ずっとずっと好きだった。同じクラスになった時から江藤の事ずっと見てた。江藤がモテんのは知ってるけど…俺じゃ、ダメ?』
志賀くんは私に真っ直ぐにそう言った。
『し、志賀くん。それ本当?!』
信じられなくて私はそう聞き返した。
『本当だって!分かんなかった?』
『ぜんっぜん分かんないよ!』
正直、志賀くんの告白は今までのどの告白よりも嬉しかった。
付き合ってしまおうかとも、考えなかったわけじゃない。
それでも…
''羨ましいよ~!''
クラスメートたちを思うとそんな勇気なんてなくて。
皆の想いを踏みにじる事なんてできなくて。
『少しだけ、考えさせてほしい』
私はそんな曖昧な返事をした。
『そーだよな。…うん、大丈夫!また聞かせてっ』
笑顔の志賀くんに私は笑い返した。
『あ、それとさ…名前。これからは''芽依''って呼んでいい?ってかそう呼びてー!だから俺の事は直耶って呼んでくれよっ』
何だかくすぐったかった。男子に名前を呼ばれるなんて。
ましてや名前で呼ぶなんて初めてだったから。



