冬恋~さいごの贈り物~



「ほら、早く食べないと昼休憩終わるよ」



芽依と共に教室に戻ってきた空羽は寂しそうにこちらを見ていた。


そうだよね…。


このままじゃあたしだけじゃない、空羽たちまで苦しめてしまう。


何とかして芽依と話をしないと…。そう頭で考えるのは簡単な事で。


結局芽依と話が出来ないまま、


2週間が経過した────────────────




その頃には仲の良かったあたしたち5人は完全に分かれてしまい…


空羽と芽依

莉玖翔と海叶とあたし


の2グループで日々を過ごしていた。


周りの皆もあたしたちのあからさまな様子に気付かないはずがなく…


一部ではよくない噂が流れ始めていた。



''あの5人どうしたんだろうね''



''どうせ、江藤さんのせいじゃないの?私友達に聞いたんだけどさ、江藤さんって小学生の頃…''



''えー!本当に?信じらんないっ。さいてー''



噂は芽依の小学生時代の話。


情報に疎いあたしは、そんな噂が飛び交ってるなんて知る由もなかった。



















それから更に2週間後──────────




「じゃ、俺ら部活行くけど…気を付けて帰れよ。何かあったらすぐ連絡しろ」



「また明日ね、奏穂」



今日も芽依と話をすることは出来なかった。


部活に行くという海叶と莉玖翔、入り口付近で芽依にバレないよう小さく手を振る空羽に手を振りあたしは教室を出た。


多分、空羽は芽依に



''奏穂とは喋らないで''



とか言われてるんだと思う。


それでも空羽はバレない程度にこーやってコミュニケーションを図ってくれる。


あたしのせいで気を遣わせてごめんね、空羽…。


家まであと少し、そんな時あたしは忘れ物に気付いた。



「明日提出の紙、机の中に入れっぱなしだ…」



来た道を引き返し、あたしは再び学校へ向かうことにした。