冬恋~さいごの贈り物~



「芽依。ご飯食べよ…」



「くう。屋上行こ」



流石にこのままじゃよくないと思い、勇気を出して声をかけるもあたしの声なんて聞き入れてもくれず。


そのまま芽依は空羽を連れて屋上へ行ってしまった。


どうして…?









芽依────────────────








「…莉玖翔。俺ちょっと職員室に行かなきゃなんねーんだ。奏穂のこと、頼む。すぐ戻るから」



「分かった。…奏穂、お昼食べよう」



「……うん…」



あたしが何かしたなら謝るから…言葉にしてくれないと分からないよ……。



「奏穂…自分を責めるなよ?大丈夫だから」



莉玖翔は落ち込むあたしの頭を優しくポンっと撫でた。



「ごめんね、莉玖翔…」



「謝らなくていい。不安だよな…何てったって芽依ちゃんは俺らと違って唯一女の子だし。何か俺に出来る事があればいいんだけど…」



「ありがとう。その気持ちだけで充分だよ…」



やっぱり莉玖翔はあたしたちの中の誰よりも大人だね。



「空気悪くしちゃってごめん。あたしが落ち込んでも仕方ないよねっ」



弱気になってちゃダメだ。しっかりしないと。


莉玖翔や海叶、空羽も迷惑だよね。



「奏穂。俺は……」



「わりぃ、遅くなった」



「莉玖翔。ごめん、聞こえなかった…。何?」



今、何かを言いかけてた気がするんだけど…



「あ、ううん。何でもないよ、気にしないで」



「うん…?分かった」



「本当に大丈夫か?ごめん、俺が途中で入ったりしたからややこしくなったんだろ?」



「平気平気。そんなに大した事じゃないから。ほんと気にしなくていい」



「莉玖翔がそういうなら、まぁ…」