「奏穂…芽依の事か?」
「…うん。芽依も大事な親友だもん。放っておけないよ…」
例え芽依が本当にあたしの事を嫌いだとしても。
あたしは芽依が大好きだから…────────
「そーだよな…」
「うん…」
芽依は言ってた。
あたしが空羽の為に動くのは空羽が男だからって。
でも…そんなことない。
例え芽依が空羽と同じ立場だったとしても、あたしは同じように行動したと思う。
友達に優劣なんてあるのかな…
確かに完全にない、とは言い切れないかもしれない。
それでもあたしは平等に接してきたつもりで…
何が芽依にそう感じさせてしまったんだろう…
いつ、どの場面で…?
その日は1日モヤモヤした気持ちが晴れないまま過ごした。
─────夜は明け、月曜日。
「奏穂ー!海叶くん、待ってるわよっ」
「今行くーっ」
髪の手入れもほどほどに、あたしは家を出た。
「ごめん、海叶」
「んな急がなくてもよかったのに。何か急かしたみてーでごめんな」
「全然っ。行こっか」
「あぁ」
海叶と一緒に学校へ向かう。
「ねぇ海叶…」
「どした?」
「サッカー、今からでも遅くないよ…?」
あたしは海叶に杏結莉の手紙を受け取ったあの日からずっと伝えたかった事を口にした。
「サッカーって…何で?」
「海叶がサッカー辞めたのってあたしのせい、だよね?」
「違う。俺が勝手に辞めただけで奏穂のせいなんかじゃねー」
「だとしても。あたしの為に辞めた事には変わりないよ」
海叶があたしの為に大好きだったサッカーを辞めたのなら。
「あたしはもう、大丈夫だから。だからもう一度、海叶にはサッカーをして欲しい」



