【奏穂side】
空羽と馴染みのあるこの町に戻ってきた翌日────────
「…ん……」
カーテンから差し込む眩しい日差しにあたしは目を覚ました。
「起きたか…?」
隣には同じように目を覚ましたらしい海叶。
昨日家に着いた頃にはもう真っ暗で。
芽依の事で落ち込んでいたあたしに海叶は
''今日は一緒に寝よーぜ''
そう言ってくれた。
その好意に甘えたあたしは海叶を連れてうちに入り、2人あたしの部屋で眠りについた…というわけ。
「ごめん…起こしちゃった?」
「いや、そんなことねーよ」
「そう。ならよかった」
昨日の芽依には本当に驚いた。
だってあんな芽依は今までに一度も見たことがなかったから。
だけど別によかった。冷たくされても、悪く言われても。
芽依が自分の思いを言葉にしてくれるなら、何だってよかったんだ。
芽依はあたしたちの中で一番空羽といる時間が長かったと思うし、きっと一番信頼してただろうから…
だから芽依なりに思う所があっても全然おかしくなかった。
だけどそれでも、
─────''奏穂なんてだいっきらいっっ……!!''
あれには少し、いや…かなり傷ついた。
もしかしたら咄嗟に口から出た出まかせかもしれない。
でも、あたしなりに芽依とはうまく友情を築いてきたつもりだったから…
それを否定されたみたいで悲しかったんだ。
…思えば緋里さんの旅館でお世話になろうとした時から、芽依の様子はおかしかったような気がする。
口数が極端に減り、笑顔もほとんどなくなってた。
だけどいくら考えても原因が分からなくて、あたしは1人悩んでいた。



