冬恋~さいごの贈り物~



そう吐き捨て、芽依は来た道をかけ戻っていく。



「芽依…!」




────────♪♪




追いかけようとした俺ら男子の元にメールが届く。



''追いかけなくていい。今は一人になりたい。ちゃんと帰るから安心して''



たったそれだけの芽依からのメッセージだった。



「ねぇ海叶。あたし、芽依に何かしちゃったのかな…?」



不安そうに奏穂は海叶に尋ねる。



「…今はまだ何も分かんねー。けど気にすんな、奏穂がした事に間違いなんてなかった。それは俺が保証する」



誰も何1つ分からない中で、海叶は奏穂に優しくそう言う。


ここにくるまでの皆を俺は知らない。


だから何があったのかも分からない。


だけどそれでも、奏穂が何かをするようには思えないし…さっきの芽依だって明らかに変だ…。



「…奏穂。俺は奏穂がしてくれた事、言ってくれた事に嘘がないってことちゃんとわかってるよっ。きっと芽依も、本心じゃないと思う。だからあまり深く考えないで?ここに来てくれた事、本当に嬉しかった!ありがとっ」



これが今の俺に言える精一杯の言葉。



「芽依ちゃんのこと気になるけど…とりあえず俺らは病院に行こう」



「うん…そだね」



力なく笑う奏穂と共に、俺たちは再び病院へ向かった。














さっきの芽依の様子、おかしかったけど…実は心当たりが完全にないわけじゃない。


本人に確認したわけでもないから確証もないし、皆にはまだ言えてないけど。


芽依との登校中、何度か違和感を感じることがあった。


異常なほどにぼーっとしていたり、かと思えば何かに怯えるような目をしていたり。


どうしたのか聞こうとしてもすぐにいつもの芽依に戻っちゃうから聞くに聞けなくて…。