空羽の気持ちを思うと胸が締め付けられるみたいに痛かった。
『これがその病院の住所と…空羽くんが昔住んでた町の名前』
緋里さんは小さなメモ用紙を莉玖翔に手渡した。
『みんな、行こう』
『ちょっと待って』
莉玖翔の声に立ち上がったあたしたちを緋里さんが止めた。
『いくら隣の県だと行っても時間はかかる。もう夜だし危ないから行くのは明日の方が安心だし、きっと明るい方が見つけやすいわ。かと言ってきっとここまで来るのにも時間とお金はかかってるはずだから…今日はここに泊まって?用意できるものはするから』
『でも、そんな…。いくら何でもそこまでしてもらうのは…』
あたしの言葉に皆もそうだと言うように頷く。
『うちの事は気にしなくて大丈夫。ただし、親御さんには必ず連絡しておいて?心配すると思うから。朝、駅までは私が皆を送る』
''取ったばかりだけど''
そう言って窓から見える車を指さす。
それでもなお、申し訳なく思うあたしたちに
『私も心配だから…空羽くんのこと。空羽くんは私にとって弟みたいな存在でほっとけないんだ。だけど私には仕事があるから…あなたたちが傍にいてあげて欲しい。空羽くん、弱さをあまり見せないかもしれないけど多分すごく寂しがりやだから』
緋里さんは微笑んだ。
『でもやっぱり私…っ』
『分かりました。それじゃあお世話になってもいいですか?』
断ろうとする芽依の言葉を遮ってあたしは緋里さんに尋ねる。
見ると莉玖翔と海叶もあたしと同じ気持ちのようだった。



