冬恋~さいごの贈り物~


数日後気になった緋里さんがさえ子さんの家を訪れると、小さな空羽を紹介されて。


泣き声の犯人はこの子だってすぐに分かったのに、会う時はいつも明るい元気な姿でとても悲しそうには見えなかったと


緋里さんはそう言った。


年も近かったため一緒に過ごすことが多くなった2人。


出会って2年が経ったある日、



''どうして寂しいって言わないの?何か悲しいことがあるんじゃない?''



と尋ねた緋里さんに空羽はポツポツと過去の出来事を口にした。




──────両親がいなくなったことを。




空羽と初めて会った日から両親を見かけた事がなかったからおかしいなとは思ってたけど、出張か何かだと勝手に思い込んでいた緋里さんはあたしたちと同じように言葉を失ったらしい。



『──────まだ中1だった私は、彼になんて声をかけたらいいのか分からなかった…』



『ちょ、ちょっと待ってください!それじゃあくうは…そんなに小さい時から両親がいないってことですか…⁈』



『うん。そーゆーことになるね…』



『そんな…全然気づかなかった……』



芽依はずいぶんとショックを受けているようだった。



『気づかないのも無理はない。空羽くん言ってたから…周りにはバレないように明るく振舞ってるんだって。きっとそうする事で自分にも言い聞かせてたんじゃないかな?』



空羽…ずっとずっと1人で悲しみを抱えてたんだね…。