『うん…家はここで間違いないはずなんだけど…』
ねぇ、空羽…
一体どこにいるの────────────?
────────────そんな時だった。
『空羽くんのお友達かな?』
救世主が現れたのは。
『そうですけど…あなたは?』
一番に口を開いたのはしっかり者の莉玖翔。
見るとその人はあたしたちと変わらないくらいか、それより少し年上の美人で優しそうな女性だった。
『私はここの旅館の若女将。訳あって学校には通ってないけど…通ってたら今年で3年生かな』
指された後方の建物を見るとこじんまりとした旅館があり、何人か宿泊しているみたいで。
2つしか変わらないのに、一目見ただけでしっかりしてるなって。大人だなって思った。
『そうだったんですね。俺たち今、空羽を探してて…』
『…そっか。立ち話もなんだし…うちでよければ上がって?少しは力になれると思うから』
『で、でも…そんな急に、いいんですか…?』
あたしはようやく口を開いた。
『どーぞ』
あたしたちは招かれるままにその旅館にお邪魔した。
『立派な旅館じゃないからこんなものしか出せないけど…よかったら食べて』
旅館に入るなりその女性は全員分の和菓子とオレンジジュースを出してくれる。
『いえ、そんな!わざわざすいません…』
『私、和菓子大好きっ。ありがとうございます!』
『ふふ。喜んでもらえたみたいでよかった』
『緋里。梅の間が空いたわ。そちらに案内してさしあげて』
少しするとあたしたちの元へ綺麗なたたずまいの女の人がやってきた。



