冬恋~さいごの贈り物~



『そーと決まれば早いトコ家見つけよーぜ』



『うん、そうだね。俺と芽依ちゃん、海叶と奏穂に分かれて探そう』



あたしたちは先生のメモに記された町を手分けして探した。


その町は芽依の家から一駅先の古い住宅街だった。



『空羽、毎日電車通学してたんだね。知らなかった…』



『そーだな。とにかく今は空羽の家を探そう』



『うん…』



あたしは海叶と共に、見知らぬ町へ足を踏み入れた。



















『おや、見ない顔だねぇ~。おかえり』



『あ、はい。ただいま…?』



この町に来て数分。すれ違う全ての人に声をかけられる。



『その制服、空羽くんと同じ高校かい?』



『空羽の事、知ってるんですか?!』



『あぁもちろん。知ってるさ』



空羽の家はすぐに突き止めることが出来た。



『──────ありがとうございます…っ』



急いで莉玖翔に連絡を入れ、あたしたちは教えてもらった通りに道を進んだ。



『ねぇ海叶…?』



『どした?』



『暖かい町だね…』



『…あぁ』



ここに来て少ししか経ってないけど、空羽のあの人懐っこい性格はこの町のおかげでもあるんだろうなって。


すぐに納得できた。














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『かいー!奏穂ー!遅くなってごめんっ』



数十分後。かけつけた芽依、莉玖翔も合流し、目の前の民家…空羽の家のインターホンを鳴らす。


けれど…



『…出ない。どうして?』



『奏穂ぉ、ここで合ってるんだよね……?』



空羽の姿はそこにはなかった。


場所は間違えてるはずがない。表札の名前も''嶋名''だったし。