冬恋~さいごの贈り物~


俺は辛さや悲しみは一度だって見せずに明るくやり過ごしてきた。


自分がこれ以上辛くならないように。


明るく過ごすことで自分に言い聞かせてきたんだ。




──────自分は辛くなんかない、寂しくなんてない…と。




こうして過ごすうちに俺は中学生になった。





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中学に入学した俺は芽依たちと出会い、すぐに仲良くなった。


時間が経つにつれ、お父さんたちを失った悲しみや孤独も少しずつ薄れてきた。


ふと、思い出して枕を濡らす夜もあるけど。


俺は4人に出会えてよかったって心から思ってる。


話を出来ない事に全く何も思わなかったわけじゃない。


だけど…今ある日常を壊したくなくて。気を遣ってほしくなくて言えなかった。


言えなくて、ヒミツにしてしまってごめんね。皆…─────────────


俺は少しだけ気分転換をするために、ここに来て初めて病院の外へ出た。