【奏穂side】




「かいってば本当、歌上手!!」



「ずりぃよなー!いっつも海叶だけ高得点っ」



「海叶もそうだけど、奏穂もなかなかだよね」



「いやいや。あたしは全然。海叶には適わないよ」



「そんなに褒めても何も出ねーぞ」



5人で帰る帰り道。


今日は皆でカラオケに行った。


金曜日…今日は週に一度の特別な日。


何が特別なのかって言うと…5人皆で帰れる日だから。


普段はそれぞれ部活に入ってて、莉玖翔と空羽の所属するテニス部が休みの金曜日は皆で帰ろうって。


入学した時に5人で決めた。


ちなみにあたしと芽依は中学校の時と同じ家庭科部。


……とは言っても真面目に出てるわけじゃないからほとんど帰宅部と同じ。


たまに部活に出た時には海叶たちに何かしらの手土産を持ち帰るくらい。


マスコットとかクッキーとか、バリエーションは様々。


そして、海叶はと言うと……………



正真正銘の帰宅部。










────だけどそれには理由がある。












海叶は小さな頃から根っからのサッカー少年で。


中学校でもサッカー部に所属していた。


才能もあってすぐにレギュラー入り。


キャプテンになることだって決まってて、素直にすごいと思ってた。


だけどある日突然、




──────海叶はサッカー部から姿を消した。





理由は教えてくれないけど、きっとあたしのせい。


それ以来、海叶はサッカーをしていない。


あたしは海叶から、









大好きだったサッカーを奪ったんだ。






「あたしって、最低な幼馴染じゃん…」



「え?何か言った?奏穂!」



「あっ、ううん!何でもないよ!」