【空羽side】
ピッピッピッ──────────
沢山の機械音が鳴り響く白い部屋の中。
俺はそこにいた。
沢山の管をつながれ、見るに堪えない姿でベッドに横たわるのは俺ではなく目の前のおばあちゃん。
「おばあちゃん…朝だよ。起きてよ…っ‼」
おばあちゃんは今の俺にとって唯一の家族。
お父さんとお母さんはいない…というよりいなくなってしまった。
小さな頃からおばあちゃんに育てられてきた俺は、当然おばあちゃん子で。
こんな俺を大事に大事に育ててくれた。
これが皆に言えていない、俺のヒミツ。
別に隠していたわけじゃないけど、進んでする話でもないから…
だから結果的には隠してる事になるのかな…?
あの日、かかってきた電話の相手はここのナースだった。
─────『私、〇×病院のナースなんですけど。先ほど嶋名さえ子さんが病院に搬送されました。さえ子さんの身内の方ですか?』
俺が聞いたのはそこまでで。その後ナースが何を言っていたのかは分からない。
訳も分からないまま、俺はただ告げられた病院に走った。
おばあちゃんは今、意識不明の重体で…いつ目を覚ますか分からない。
もしかしたらこのまま目を覚まさないかもしれない、とお医者さんに言われた。
おばあちゃんはあの日、散歩中に階段から足を踏み外してそのまま転落したらしい。
「お願いだから目を覚ましてよ…。おばあちゃん…っ」
どうして…どうして俺の周りでこんなことばかりが起こるんだろう…?
俺は知らないうちに何か悪いことばかりをしてんのかな…。
「嫌だよ…。おばあちゃんまで、俺を置いて行かないで…っ…」



