「そもそも空羽は何人家族なんだ?」



海叶の何気ない質問に、


あたしたちは誰1人答えることが出来なかった。



「私、聞いたことない」



「うん…。あたしも、知らない」



見ると莉玖翔も同じのようで…。


たしかに、普段過ごす中で家族構成の話が出ることなんてほどんどない。


だけど一緒に過ごしていれば会話の流れから自然と分かるようになる。


はずなのに…空羽の場合は全く予測が出来なかった。


もちろん、日常の些細な会話だから全てを覚えているはずはないんだけど。


覚えてる覚えてないは関係なく、ただただ分からなかった。


空羽が進んで家族の話をしたことはあったっけ?


いつもどんな話をしてた…?


考えても考えても結論は出ないまま。


空羽のいない一日は幕を下ろした。



















「空羽のやつ、どうしたんだろうな…」



「心配だね…」



家に帰ってもやっぱり話題は空羽の話。



「奏穂は今日伝えるつもりだったんだろ?みんなに」



「うん。でも…今は空羽の方が大事だし。あたしのことは落ち着いてからでも大丈夫だから」



杏結莉のこと…あたしが隠してたヒミツを今日、空羽たちにも話そうと思ってた。


だってきっと何も言わないだけで、何かあったことくらいは気づいてるはずだから。



「そっか」



「それに…正直言うとね、あたし自身もまだ完全に整理が出来てるわけじゃないから。まだもう少し時間がかかると思う」



「そうだよな。無理だけは、すんなよ」



「分かってる。明日は空羽、来るかな?」



「どーだろうな…。せめて連絡の一本でも取れればいいな」



「そうだね…」



その日、眠りにつくまで空羽からの連絡が来ることはなかった。