「全部は読んでねぇから。けど…わりぃ、最後の一枚だけは目を通した」



「うん…」



海叶は言いにくそうに、でもはっきりと真実を話し始めた。


さっき海叶が言ってたあたしへの唯一のヒミツ。



「その手紙は小6最後の大掃除の時。たまたま見つけた」



「大掃除…?」



「あぁ。黒木のロッカーにくっついてたんだよ。…それで悪いと思いつつも最後の一枚にだけ目を通して、そのまま家に黙って持ち帰った。──────────奏穂のために」



海叶はあたしの目を見てそう言った。



「あたしの、ため?」



「俺がそれを見つけたのは黒木がいなくなって1か月程度でさ。少しずつ恐怖や悲しみから立ち直ろうとしている途中に振り出しに戻ってほしくなかったんだよ。その手紙を読めば奏穂はまた、苦しむようになると思ったから」



あたしは海叶に、




──────────どれだけ感謝をすればいいのかな。




海叶がずっと隠してたヒミツは、あたしのためだった。


小6のその時から海叶はあたしの事を考えてくれてたんだね…。



「…けど、今はそれが正解だったのか分かんねぇ。そのせいで奏穂は黒木の思いを知らずに苦しみ続けた」



たしかに、その通りかもしれない。だけど…



「…違うよ。もし、海叶がその時あたしに手紙を見せてたとしても。あたしはきっと苦しんでたと思う。だって…小6なんてただの子供で。この手紙が指すメッセージがちゃんと伝わってたとは思わないから。だから海叶は、海叶のした事は間違ってなんかない」



「奏穂…」



海叶はいつだってそう。まるであたしのヒーローで。


いつもいつも助けてくれる。



「やっぱり海叶は…、最高の幼馴染だね…っ。あたしのために…ごめん…っ」



だからあたしは海叶から離れられない。



大切で、大好きだから─────────────



「ごめんなんて言うな。当たり前だろ?俺はいつだってお前を。奏穂を一番に守ってやるよ。ずっと渡せなくて、ごめんな」



「ううん…ありがとう。海叶……」









あたしも守りたい。


守れるような大人になりたい。












誰よりも大切な






幼馴染のキミを──────────────────