4枚目をめくる頃には涙で顔がボロボロで、嗚咽を抑えることが出来なかった。
小6ながらに考えていた杏結莉の想いが、そこに全て綴られていた。
あたしとの思い出、杏結莉を死に追い込んだきっかけ…。
辛かったよね。そんな時、傍にいてあげられなくてごめん…。
涙を流しながらめくった5枚目には、これからの…杏結莉を失った後のあたしへの思いが綴られていた。
あたしのせいで死んだんじゃない。ちゃんと支えられてたから前を向け…と。
杏結莉なりの精一杯の励ましの言葉だった。
''──────私の分まで精一杯生きてください。 黒木 杏結莉''
これが杏結莉からあたしに向けた''最期のメッセージ''。
読むのが遅くなってごめんね。
杏結莉の想いはしっかり届いたから…。
杏結莉…あたしは今まで何度も死のうと思ったことがある。
一度は本当に死にかけた。
海叶がいなかったら…あたしは今、ここにはいなかったと思う。
でも、杏結莉を思ってしたその行動は杏結莉の想いを踏みにじってたんだね。
簡単に終わらせようとしてごめん。
これからは杏結莉の分まで長生きするから…だから見守っててくれないかな…?
杏結莉の事は絶対に忘れない。でももう、杏結莉の事で後ろを向くのはやめる。
…やめないといけない。
思い出はいつだってそこにある。
そうだよね?─────────────杏結莉。
──────────ガチャ
海叶はいつから持っていたんだろう。
この手紙、読んだのかな…。どうして…?
「─────海叶…」
「読んだか?」
「…うん」
お風呂あがりの濡れた髪をタオルで拭きながら海叶はあたしの隣に腰を下ろす。
「全部は…」
「…ん?」



