''最後に。奏穂?こんな私の相談に乗ってくれて。ずっと友達でいてくれて本当にありがとう。
奏穂はいつも言ってたよね。あたしには何もしてあげられる事がない、悔しい、ごめんねって。
だけどそれは違う。
奏穂がいたから。奏穂が相談に乗ってくれたから。話を聞いても傍にいてくれたから。
私はここまで頑張ることが出来た。ここまで生きることが出来たんだよ。
だから、何も出来なかったなんて思わないで。
自分を責めないでね。
私はこれ以上、我慢することが出来なかったけど…奏穂の優しさや支えはこれから先絶対誰かの希望になるから。
将来私みたいに悩んでる人がいたら奏穂らしくその人に寄り添ってあげてほしい。
救えなかった、なんて思わないで。私は奏穂に救われたから。
幸せを知れてよかった。もう悔いなんてない。だから奏穂…ごめんなさい。
一緒に生きていけなくてごめんなさい。でもね、これだけは覚えてて。
私は奏穂の事が大好きだよ。
忘れないで、なんて言わない。だけど…自分を責めずに前を向いて。
私の分まで精一杯生きてください。
黒木 杏結莉''
これが最後の一枚に書いてあった黒木のメッセージ。
この手紙を読んだ俺は、
─────────奏穂に渡さず自分の部屋の机の中にしまった。
どうしてそうしたのか…理由は1つ。
少しずつ、黒木の事を忘れようとしている奏穂にもう一度現実を突きつけたくなかったから。
もう一度あの日の苦しみを思い出してほしくなかったから。
小6の時の俺の判断は間違ってたのかな。



