「後で成実に荷物渡しとくから。何かあったら連絡しなさい」
「うん、ありがとう。成実さん、お願いしますっ」
「気にしないで。それじゃあ秋帆、涼汰さん。また」
俺たち5人は室沢家の玄関をくぐった。
「俺の部屋行ってろ。飲み物持ってく」
「分かった」
俺が黒木の手紙を発見したのは、小学校卒業式の前日。
大掃除をしたときだった。
「奏穂。荷物届いたから先風呂行って来いよ」
「いや、でも…。先入っちゃっていいの?」
「母さんが入れって」
「そっか。…じゃあ先にかりるね」
「おう」
黒木のロッカーをたまたま拭いてた時だった。
雑巾を当てていると上に何か引っかかるものがあって。
気になって取ってみるとそこには''奏穂へ''と書かれた白い紙があった。
小6ながらに直感で遺書だと思った俺は申し訳なく思いながらも紙を開いた。
手紙は5枚ほどあり、俺が見たのは最後の一枚。
せめてもの俺の遠慮だった。



