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『ただいま、おばさん。奏穂いる?』



その日の放課後。


俺はいつものようにまっすぐ奏穂の家に帰宅した。


最近の俺の放課後の過ごし方は

部活が終わると真っ先に奏穂の家に帰宅し、奏穂の様子を確認してから

奏穂の家でご飯とお風呂を済ませて初めてうちに帰る…という感じ。


最初は奏穂の様子を見たらすぐに帰る予定だったんだけど、おばさんが



''今の奏穂の傍には海叶が必要だと思うから。これくらいはさせてちょうだい''



と言うことで、ご飯とお風呂まで世話になってる。



『奏穂、まだ帰ってないのよ…』



てっきり今日も部屋にいると思ってた俺は脱ぎかけていた靴を履きなおし



『迎えに行ってくる』



玄関を出た。














とは言ったものの…


あいつ、どこにいんだろ。


大変な事になってなきゃいいけど…



『とりあえず、通学路もう一度通ってみるか』



俺は奏穂を探すため歩みを進めた。














『…どこにいんだよ、奏穂…っ』



────────────探し始めて1時間。


俺はまだ、奏穂を見つけられずにいた。


心配や不安は焦りに変わる。



『…もしかして……!』



1つだけ思い当たる場所が思い浮かび、俺はそこに急いだ。














『いた。─────────奏穂っ』



呼びかけるも奏穂には俺の声なんて届かなくて。


危険を感じた俺は奏穂の元へ走った。


頼むから…正気を取り戻してくれよ…。


俺はお前を失いたくねぇんだ。


やっとのことで奏穂の元に追いついた俺は



──────────今にも飛び降りそうな奏穂の身体を必死に抱き寄せた。