【海叶side】



マンションへの道を急ぎながら俺は不安を募らせる。



無事でいてくれ…奏穂──────────────




















俺は根っからのサッカー少年で。


物心つく前からサッカーが大好きだった。


小学校に入るとすぐサッカーの習い事を始め、中学でもサッカー部に入り…


高校でも続けている、



─────────────予定だった。



小6の時、奏穂は親友である黒木を突然失った。


話を聞いたわけでもねぇし、今ほど一緒にいたわけでもなかった俺には事情なんて何一つ分からねぇけど。


黒木の家にはきっと複雑な事情があったんじゃねぇかなって、なんとなくそう思う。


奏穂にも落ち着いてから話を聞いたけど…ほとんど断片的ではっきりとは口にしてくれなかった。


2人は周りから見てもすぐに分かるくらい仲良しで、どこに行くにも何をするにもいつもいつも一緒。


だから、と言うわけでもねぇけど黒木がいなくなってからの奏穂は見てられなかった。


ご飯もろくに口にせず、ただ学校に行って帰るという作業だけを続けているロボットのような、抜け殻のような毎日を過ごしていた奏穂は

顔がやつれ、

手足も瘦せほそり、

今にも倒れてしまいそうで。


放っておくことなんて出来なかった。


だから部活や学校のない時は極力奏穂といるようにした。


けど、今みてーに俺が奏穂につきっきりで過保護になったのは



──────────中1の冬。黒木の命日の出来事。



それが俺の人生を大きく変えた。