────────────────翌日。



『──────続いてのニュースです。昨日、マンションから転落した少女…黒木杏結莉さんの死亡が確認されました』



頭に響くテレビの音。

杏結莉の死を告げるニュースキャスター。


昨日かかってきた電話に出ると何やら知らない人の声がして。


杏結莉の死を告げられた。



──────────即死だったらしい。



きっと着信履歴から探してかけたんだろう。


電話の対応をしてくれたのはあたしではなく、全て海叶。


何もする気が起きなかった。


何も考えたくなかった。





─────────────────────……









あの日…杏結莉を失った日からあたしは抜け殻のように日々を過ごしてた。


杏結莉を失ったショックはあまりにも大きすぎて、生きている心地がしなかった。


いつだって考えるのは杏結莉との楽しかった日々で。


どうして助けてあげられなかったんだろう。


もっと支えてあげられなかったんだろう。


もっと他にいい案があったんじゃないか。


あたしは今でもずっと後悔し続けている。


後悔の波に押しつぶされて、死にかけたこともあった。


それでも今、あたしがここに立っていられるのは。



──────────────まぎれもなく海叶のおかげ。



海叶がいたからあたしは死なずに済んだ。


海叶がいたからまた笑えるようになった。


だけど


どれだけ時がたっても、この後悔がなくなることはきっとない。


杏結莉…ごめんね……。














屋上を吹き抜ける風を感じながら、


あたしは杏結莉が最期に立っていたような場所に腰を下ろした。