冬恋~さいごの贈り物~









『奏穂、どうしたんだよ』



海叶はあたしに問いかける。



『杏結莉が…黒木杏結莉が危ないの…っ』



あてなんてない。


あたしは近くに見える建物の上をひたすら探し続けた。


暗がりでよく見えない中、必死で目をこらす。



『は?危ないってどーゆーことだよ』



『分からない。分からないけど杏結莉は今…死のうとしているかもしれない。だから海叶、お願い…杏結莉を探して……』



もちろん確証なんてない。


だけど…ずっと一緒に過ごしてきたからこそ分かることだってある。


あたしは今、杏結莉を探さなきゃいけない。



『…っ!分かった、必ず見つけよう』














────────────数分後。



『奏穂!あの上に見える人影、そうじゃねーか?』



『──────杏結莉!杏結莉だよね⁈待ってて、今行くから‼』



ようやく見つけた杏結莉の元へ急いだ。














───────────ギイィ



屋上に繋がる重たい扉をあける。


高層マンションの上、フェンスを越えた足場の狭い場所に杏結莉は立っていた。



『杏結莉っ!』



『奏穂…どうしてきたの…?』



『そんなの…心配だからに決まってるじゃん!危ないから、こっちに来てよ…』



『…ありがとう。でも私は、もうそっちに戻れない』



一度もこちらを見ないまま、杏結莉は続ける。



『毎日毎日、お父さんに叩かれる。そんな日々はもう嫌…。学校にいる時は…奏穂といる時は確かに幸せで。それはたしかなんだけどね。もう何もかも終わらせたいんだ…。我慢するのはもう限界。…小6の私には耐えきれなかった』



『杏結莉…お願いだから、生きて…。一緒に遊ぼーよ、笑おーよ。一緒に生きようよ…。お願いだから…。あたしには…っ、杏結莉しかいないんだよ…?』