【奏穂side】
「おはよ、海叶。ごめん…待った?」
「はよ。全然待ってねーよ。今来たトコ」
「よかったぁ~」
───────現在、高校1年生。
あたしたちが出会ってから12年が経った。
海叶はあれからどんどん男前に育っちゃって。
最近はよく告白されてるみたい。
「海叶さ…高校入ってもう何人?」
「は?何が?」
「…告白された人数」
「…んなのいちいち数えてねーよ」
「だよね。あはは」
「意味分かんねぇ」
それなのに海叶は皆を振ってばかりで。
今までに誰かと付き合った、なんて話は一度も聞いたことがない。
もったいないなぁ。
こんなにかっこいいのに。
「お前は、上手くやれそーか?」
「ん?」
「学校」
「あー、うん。芽依も一緒だし大丈夫そう。いつもごめんね?」
でもやっぱり。
海叶が誰かと付き合っちゃうのは少し…寂しいなぁ……。
「なに不安そうな顔してんだよ。心配しなくてもお前の傍からいなくなったりしねーから」
「……うん。そうだよね、ありがとう!」
「……ん」
海叶と出会ったあの日から、あたしの隣にはいつも海叶がいた。
楽しい時も、嬉しい時も、悲しい時も、
────────苦しい時も。
それは小学校や中学校に入っても、
高校に入学した今も変わらない。