冬恋~さいごの贈り物~



親父が大きく手を振っていた。


…直後母さんに何か言われてたみてーだけど。


多分''恥ずかしいからやめて''とかそんなことだと思う。


本当親父は学習能力がないっつーか、なんつーか。



「あたしたちも行こっか」



おばさんにつづくように俺たちは煙のあがる方へ向かった。














✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤














「ちょっとお手洗い行ってくる」



充分にお腹が満たされた頃、奏穂がそう言い席を立った。



「気を付けて行ってこいよ」



心配じゃない、といえば噓になる。


けどトイレについていくわけにもいかねーし、そもそもそこまで遠くにあるわけじゃない。



「うん、大丈夫だよ」



だから俺は一緒に行かなかった。


だけどこの時、一緒に行ってればあんなことにはならなかったのに──────────


俺は油断しすぎていたのかもしれない。














─────奏穂がトイレに立って数十分。



「なぁ兄貴。奏穂遅くない?」



「あぁ…」



俺が気にしすぎなのかとも思ったけど…


さすがに遅すぎるよな。


あと1分、いやあと5分待っても戻ってこなかったら探しに行こうと思い続けて


─────30分。


いくらなんでも時間がかかりすぎだ…。



「空叶わりぃ。ちょっと奏穂探してくるっ」



「わかった」



あんまり一緒に行動すんのは迷惑かも、とか


一人の時間が欲しいかも、とか


そんなめんどくせーことばっか考えてねーで早く追いかければよかった。