あんな思いはもうして欲しくねぇし、したくねぇ。


あんなのは二度とごめんだ。



「海叶?行こ?」



「……あぁ」



そう、思ってたのに────────














✤✤✤✤✤✤✤✤✤✤














「お待たせっ、成実さん!お母さん!」



「おかえり。しっかり楽しんだみたいね」



「うん!」



母さんたちと連絡を取って合流した俺たち。


辺りはすっかりオレンジ色に染まっていた。



「やり残したことは無い?」



「うん。大丈夫」



「奏穂はいいかもしれないけど…海叶くんは?奏穂に振り回されて出来なかったこととか……」



「俺は平気」



元々買い物自体には興味ねぇし。


買いたかったものがある訳でもねぇ。



「そー?それなら空叶くんたちと合流しましょっ」



「うん!」



一通り買い物を済ませた俺たちは迎えに来てくれたおじさん…奏穂の親父の車に乗り込んだ。



「どー?準備は順調?」



真っ先に口を開いたのはおばさん。



「おー。空叶くんが頑張ってくれたおかげですぐ済んだよ。魚も沢山釣れたしなぁ」



「本当?さすが空叶だね、海叶」



「ま、あいつはあーゆー作業好きだからな。俺が手出すと怒んだよ。“触んな”って」



「ふふっ。空叶らしいね」



「本当、訳分かんねーよ。空叶は」



兄弟だからまだ可愛いけど…後輩にあんなのがいたらやってけねーよ……(笑)



「もう少しで着くぞー」



「「はーい」」



海と砂浜が一面に広がる場所に車を停め、たどり着いた俺たちは火を起こす親父と空叶の元へ向かった。



「空叶っ、準備ありがと」



「あぁ、おかえり。別にそんなに大変じゃなかったから」



「そっか」



空叶と楽しそうに会話する奏穂。


俺は椅子やらテーブルやらを準備しているおじさんの元へ向かった。



「おじさん、手伝うよ」