【海叶side】
「海叶!あれ見てよっ」
「あれってどれだよ」
「あそこ!何かマスコットキャラクターがいる」
父さんにおろしてもらい、俺たちは街をぶらぶらし始めた。
ゆるキャラみてーなのが大好きな奏穂は早速少し先に見えるそいつに夢中。
「母さん、また連絡する。奏穂行くぞ」
近づきたそーな奏穂を連れ、一言母さんに断りを入れた俺は別行動を開始した。
「え?!海斗。…いいの?」
「男の俺が付いてりゃ問題ねぇだろ。ほら、行ってこいよ」
「うん!ありがと、海叶っ」
駆け出す奏穂を後ろから見守る。
普段はおとなしいくせに、こーゆートコはガキっつーかなんつーか。
「かいとー!海叶も一緒に写ろーよ!」
カメラを構えられながら俺を呼ぶ奏穂。
本当、ちゃっかりしてんな。
「しょーがねぇな」
奏穂の側に寄り、笑顔を作る。
切られたシャッターの中には、楽しそうに笑う奏穂と俺の姿があった。
「ふふ。あたしたち、いい顔してるね」
「あぁ。そーだな」
楽しそうにはしゃぐ奏穂を見ると、俺もほっとする。
外で楽しく遊べるようになってよかったって、心からそう思う。
─────ただ、
今でも警戒が必要なことが1つだけ。
高層ビルや高層マンションのある場所には、気軽に立ち入れない。
奏穂と出かける時は事前にその場所を把握しておく必要がある。
これ以上、奏穂が傷つかねーように。