冬恋~さいごの贈り物~



だけどもしお互いに気付いていない気持ちがあるなら。


それはもったいないなって少しだけ思う。


今はまだ近くにいる。手の届く距離にある。


だけどそんなのはいつ崩れてしまうか分からない不確かなものだから。



「兄貴ももたもたしてると追いつかれるよ」




────『海叶にとって奏穂は…どういう存在?』




兄貴の親友、莉玖翔さん。


顔を合わせたのは今日が初めてだったけど…きっと彼は奏穂の事が好きなんじゃないかなって。


彼の言動を見てれば分かった。



「俺がお前以外の誰に追いつかれんだよ」



あの時兄貴は




────『……俺は…』




何て言おうとしてたのかな。


奏穂には聞かせない方がいい気がして咄嗟に声を発したけど…



「2人ともー!ご飯できたからおりてきなさーいっ」



本当は少しだけ返答が気になった。



「本当…手のかかる兄貴。俺お腹へったしもう行っていい?」



「なんだよそれ…。俺これ終わったら行く」



先にも言ったように俺は2人が誰と付き合おうと、2人が幸せならいい。


奏穂の相手が例え莉玖翔さんだとしてもこの気持ちは変わらない。



「今日も奏穂んち行くんでしょ?あんまり遅いと秋帆さんにも迷惑かかるしほどほどにしなよ」



兄貴は1つの事に集中すると止まんないからな…。


どんな未来が待っていようと俺のすることに変わりはないけれど。


兄弟として''気づいた時には遅かった''なんてダサい事は絶対にしないでよね、兄貴。


そんな気持ちを込めて肩を軽く叩くと



「お前に言われなくても分かってるっつーの。ほら、飯行くぞ」



いつの間にかセーブポイントまでたどり着いていたらしい兄貴に先を越されそうになったから慌てて兄貴の後を追った。



















────────これから起こる未来の嫌な胸騒ぎに気づかないフリをして。