冬恋~さいごの贈り物~


彼はきっと俺同様、観察眼が鋭い。


…というより空叶の場合は察知能力が高いと言った方が正しいかもしれない。


素早い状況判断を難なくこなす事の出来る人。


彼がどこまでを把握していて何を知っているのかなんて俺には分かるはずもないけど…


きっと彼はこの短時間で俺の気持ちに気付いたに違いない。



「空叶、強いね…」



「いや、莉玖翔さんもなかなか。…うちの兄貴より全然強い」



「そりゃそーだろ。莉玖翔はこー見えて根っからのゲーマーだし」



「…えっ?そうだったの?莉玖翔」



心底驚いた様に尋ねてくる奏穂。


別にわざわざ話す事でもないし、口にした事はないけど…まさかここまで驚かれるなんて俺も思ってなかったな(笑)



「うん、実は…。うちの両親がゲーム好きでさ、そんな家庭で育ってきたから物心つく頃には自然と…」



「そっか、そうだったんだ。空叶、いいライバルが見つかってよかったね」



「うん、まぁ。やるからには強い方がいいし」



空叶はきっと気づいていても知らないふりをしてくれる。


だからこそバレていたとしてもさほど気にはならない。


だけど…小さな頃から2人を見て育ってきた空叶からすればきっと俺の想いは複雑だろうな…。


空叶じゃなくたって。


俺だって幼馴染の2人が結ばれるのが一番いいんだって事くらい分かってる。


それでもこの気持ちは、この気持ちだけは。


簡単に手放せるようなものじゃない。


もしかしたら今後、俺のこの気持ちが海叶の幸せを奪う結果になるかもしれない。


そうなったら俺は空叶にとって兄貴の邪魔をする悪人だな…。


けどそんな未来がないとも言い切れないし、あるとも言い切れない。


先なんて、





────誰にも想像出来やしないんだから。