今となってはもう正解が見えない。
「…じゃあもし、奏穂が他の誰かのものになったら?それでも海叶は冷静でいられる…?」
だからせめて言葉にしてくれないか。
海叶が今何を考えて、奏穂の事をどう思ってるのか。
「……俺は…」
曖昧でいい。少しだけでいいから、海叶の素直な思いを…────────
「奏穂おそい」
海叶が口を開きかけた時、部屋の扉の前から声が聞こえた。
「ごめん空叶っ。待ってなくてよかったのに…」
続けて奏穂の声が聞こえてきたかと思うとすぐに扉が開いた。
それを合図に俺たちの話は終わる。
だけどなかった会話にだけはして欲しくなくて。
「…なんて急にごめんな。またゆっくり話そう。その時に…改めて聞くよ」
出来るだけ自然に話を終わらせた。
「課題進んだ?って…全く進んでないじゃん。…何かあった?」
「別に何でもねーよ。ただ話してただけ。…つか何で空叶も連れてきてんだよ」
奏穂の隣に立つ顔立ちの綺麗な男の子に視線を向ける。
空叶って言ってたな。この子が海叶の弟か。
「あたし、もう少しで課題終わるから…息抜きに空叶とゲームでもしようと思って」
「わざわざ俺の部屋で?空叶の部屋にもあんのに…」
「だって皆でいた方が楽しいかなって。海叶たちももう少しで終わるでしょ?」
「…って奏穂が言うから仕方なく。ゲーム機借りるよ」
「あぁ」
部屋の中で仲良く言葉を交わす光景に俺は思わず微笑んだ。
「ははっ。…本当、仲がいいんだね。初めまして空叶くん。奏穂と海叶の親友でクラスメートの得田 莉玖翔です。よろしくね」
「莉玖翔さん初めまして。兄貴たちの口からよく名前聞きます。俺年下だし空叶でいいです。…これからも兄貴たちをよろしくお願いします」
俺より年下なはずなのにしっかりと挨拶を口にする海叶の弟、空叶くん。
「じゃー遠慮なく。空叶って呼ばせてもらうよ」



