冬恋~さいごの贈り物~



【莉玖翔side】




「海叶、成実さんが取りに来いって」



部屋に戻ってきた奏穂の手にはコップとお茶の乗ったトレイ。



「奏穂。それ貸して」



俺は素早くそれを受け取って海叶を見た。



「あー、多分飯だ。奏穂、莉玖翔、机の上片しといて」



「分かった」



「勉強道具はその辺にてきとーに置いとけばいいから」



そう言い部屋を出た海叶を見て俺たちは早速片づけを始めた。



「莉玖翔ごめんね。それ持たせちゃって…重いでしょ?」



片付けの最中、申し訳なさそうに口を開く奏穂。


絶対気にしてるとは思ってたけど



「全然。俺も男だしこんなのどうってことないよ。それに奏穂には持たせられないし」


海叶だけじゃない。


俺だって空羽だって男なんだって事忘れないで、奏穂。



「どうして?あたしもそれくらいなら持てるよ?」



「女の子だから。持てたとしても持たせられない。こういうのは男に任せておけばいいんだよ」



それが好きな子なら尚更。勝ち目なんてないのは分かってるけど少しくらいはかっこつけていたい。



「莉玖翔は優しいよね。ありがとう」



「優しくなんて、ないよ」



右手と体でトレイを支え、左手で開けたスペースにトレイを下ろす。


まとめた課題を隅にやるとすぐに海叶が戻ってきた。



「…いい匂い。今日はチャーハン?」



「そ。あと味噌汁。あるもので作っただけだからごめんねって母さんが」



「食べられれば何だっていいよ。ね?莉玖翔」



「そうだね。後でお礼言いにいかないと」



「いーって。めんどくせぇし」



「そういう訳にもいかないだろ?」



「お前って本当律儀っつーか真面目っつーか…。どこまでも大人だよな」



やめてくれよ。大人なんかじゃない。


海叶を幸せそうに、切なそうに見つめる奏穂を見て嫉妬なんかしている俺は''大人''とはほど遠い。