冬恋~さいごの贈り物~


「芽依たちの事は分かんねーけど…とりあえずコレ終わらせねぇとな」



海叶が机の上のプリント類を見ながらそう言う。



「そうだね。少し脱線しちゃったけどあと少しだし最後まで頑張ろう。奏穂、海叶、また分からない所あったら遠慮なく声かけて」



「うん、ありがとう。莉玖翔」



「さんきゅ。助かる」



あたしたちは再び目の前の課題たちと向き合った。



「なぁ莉玖翔。ここの訳ってどーなんだっけ」



課題を進めながらあたしはチラッと隣の海叶を盗み見る。



「この''vow''が''誓う''って意味だから''I vow eternal love to you''で''私はあなたに永遠の愛を誓う''だね」



黒縁の眼鏡をかけた学校では絶対見られないオフ姿の海叶。


シャーペンを握る男らしい大きな手。半袖から覗くたくましい腕。


課題を見つめる真剣な眼差し。


集中しなきゃって思ってるのに気づけば海叶の事ばかり考えちゃってる。


いつも通りの近すぎるこの距離に心が落ち着かない。


…こんなのダメだ。


莉玖翔もいるんだし…真剣に教えに来てくれてるのに失礼だよね。



「ちょっとお手洗い行ってくるね」



部屋を出たあたしは目をつむり大きく深呼吸した。