冬恋~さいごの贈り物~


誰?誰かがあたしを呼んでる…。


うっすらと目を開けると暗闇の中にポツンと海叶らしき人物が見えた。



「海叶……?」



海叶らしいその人は少しずつあたしから遠ざかっていく。


これは夢…?そうか、あたしいつの間にか眠っちゃってたんだ…。



「かい、と…。どこにも行かないで……離れていかないで…」



夢なら少しくらいいいよね…?


あたしは手を伸ばし、やっとの事で届いた海叶の背中にぎゅっと抱き着いた。



「お願い…あたしの、傍にいて……」



そのままあたしはもう一度意識を手放した。









「…行かねーよ。ずっとお前の傍にいるから……」














✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣














「……ん」



夜中3時すぎ。あまりの暑さにあたしは目を覚ました。


少しずつ暗さに慣れてきたあたしの目の前にはドアップ過ぎる海叶の寝顔。



「…なにコレ」



あたしは慌てて顔を背けた。


腰にはほどよく筋肉のついた海叶の腕。



…な、なんでこんな事になってるの……?!



部屋に響きそうなほど脈を打つうるさいくらいの心音。


とりあえず離れないと…!


海叶の腕から逃れようと少しだけ身をよじると



────────ギュッ



あたしを包む腕に更に力がこもった。



「……な…………」



直後何かを呟く海叶。


その声はとても優しくて、どこか寂しさを帯びていた。


海叶…どんな夢を見てるの……?


海叶は今、誰を想ってる…?


腕にこもる力で脱出が困難になったあたしは、海叶から離れる事を諦めもう一度海叶に向き直る。


途端に感じる海叶の体温とがっちりした胸板。


こんなのドキドキしちゃってもう眠れないよ…。



「………いる…ら」



海叶の寝言に様子が気になったあたしが顔を上げると今にも泣いてしまいそうな、そんな切ない表情を浮かべていた。


そんな海叶がどうしようもなく愛おしくて。