「…ん。じゃあ続きは奏穂、任せた」
「あたし下手くそだよ?海叶も知ってるでしょ?」
「奏穂なら大丈夫。死んだっていーから。…んじゃ、行ってくる」
「もう。分かったよ」
渋々そう返事をしたあたしはコントローラーに手をかける。
本当、どうなっても知らないから。
そう思いながらも必死で画面と向き合った。
────苦戦すること20分…
「どーなった?」
「か…かったぁ~…」
海叶が戻ってきたのと同じタイミングでゲームも一段落。
何とかクリアすることが出来た。
「やるじゃん。よかったな」
戻ってきた海叶に笑って頷き、コントローラーを渡そうとすると
「そのまま次もよろしく」
そう言って海叶はドライヤーを手に取った。
「海叶やんないの?」
「これが終わったらな」
海叶はあたしの髪にドライヤーをあてながら答える。
あの日から何故か日課になってしまったこの光景。
…と言っても乾かすのは大抵あたしの髪だけ。
「あの…海叶?」
「どした?」
「面倒だったら無理してやらなくてもいいよ?」
「面倒じゃねぇよ。むしろ俺が好きでやってんの。奏穂の髪サラサラで気持ちいーから…」
あたしの髪に海叶の手が触れる。
「だから気にすんな。お前はゲームの続き」
「あ、うん…」
海叶はズルい。たった一言であたしをこんなにも幸せな気分にさせる。
好きでもなんでもないのに。ただの幼馴染なのに、こんなにも優しくしてくれる。
ねぇ海叶。
海叶は一体''好きな子''にどんな顔を向けるの?
どんな風に接するの…?
あたしには向けたことのない顔を、その子にだけは見せたりするのかな…?
見えない相手にさえ嫉妬してしまうあたしはどこまでも醜い。
海叶に髪を乾かしてもらいながら、急な睡魔があたしをおそった。
「…ほ……か…な、ほ……」



