だから今回だけは見破らないで。迷いだらけのあたしの心を。
あたしはここにある''今''を壊したくない…────────
「信じてるよ。ただ…心配だから。お前が我慢してるのを見てるだけなのはもう嫌なんだよ」
海叶はいつだってあたしの事ばっかり。
「ありがとう海叶。あたしは海叶みたいな幼馴染がいて、幸せ者だね…」
たまには自分の事を優先すればいいのに。いつもいつもあたしのため。
ありえないって分かってるのに…
そんなに優しくされると期待しそうになっちゃうよ…?
あたしはバカだから、子供だから。自分のいい様に考えてしまう。
「大袈裟だろ」
「ううん、そんな事ない」
「あら2人共。玄関でどうしたの?」
「お母さんっ!ただいま」
「ただいま、おばさん」
お母さんの横をすり抜けるようにあたしは自分の部屋へ向かった。
いつも通り敷かれた2つの布団。
あたしがどんな気持ちで毎日眠りについているのか、海叶は知りもしないんだろうな…。
「奏穂、先風呂行って来いよ」
「いや、海叶が先に…」
「いいから行って来い。最近はいつも俺が先だろ」
「うん…じゃあ先行くよ?」
「あぁ。その代わり…今日は久々に付き合ってくれよな」
もしかして…
「ゲーム?」
「そ」
「分かった」
どうしたら海叶の特別になれるんだろう。
何をすれば海叶はあたしを女として見てくれる?
そんな事ばかりを考えても答えは出ない。
今のままでも海叶は充分あたしを特別視してくれてるけど、あたしが欲しいのはそういう''特別''じゃない。
こう思ってしまうあたしはやっぱり我儘でしかないのかな。
苦しいよ…海叶。好きってこんなにも胸が苦しくなるんだね。
「海叶。お風呂空いたよ」



