冬恋~さいごの贈り物~




【奏穂side】




「じゃ、また2学期に!」



助手席から顔を出す空羽に手を振り、運転席に座る緋里さんに頭を下げる。


あたしたち4人をそれぞれ送り届けてくれた緋里さんの車が見えなくなったのを確認したあたしと海叶は顔を上げた。



「…帰るか」



そう言う海叶は当然のようにうちに入っていく。


長期休暇中はこれが当たり前。昔からそうだった。


あたしが海叶の家に行ったり、海叶がうちに来たり。


まぁ割合で言うと断然後者の方が多いけど…。


自分の想いに気付いてしまった今、この状況はかなり複雑。



「奏穂?いつまでそこにいんだよ。風邪ひくぞ」



「…あ、うん!ごめんっ」



「…お前大丈夫か?最近やたらとぼーっとしてるけど。何かあった?」



「う、ううん。何でもない!気にしすぎだよ」



あー、あたしってホント嘘つけない…。


海叶にバレちゃってないか不安だよ~…。



「そーか?ならいいけど…俺の前ではぜってぇ無理すんなよ」



「うん、分かってる。本当に大丈夫だから」



海叶はいつだって嬉しい言葉をくれる。


気持ちに気付く前はただその言葉に嬉しくなって安心してただけだったのに。


幼馴染''だから''くれるその言葉に素直に喜べないあたしがいる。


そんな自分がすごく嫌で、だけど止められない。


恋を知っていく度に醜くなっていく自分に嫌気がさしていた。



「奏穂の''大丈夫''は信用できねーんだよ。いつもそーやって1人で我慢すんだろ」



「それは…ごめん。でも今は本当に大丈夫。信じてよ」



言えるわけないよ。



''海叶の事が好きで悩んでる''



なんて。