冬恋~さいごの贈り物~




【奏穂side】




「奏穂ー!海叶くん、来てるわよ~」



「はーい!少し待って…!」



時間の経つのも早いもので…


夏休み中盤。


今日、8月7日は皆で花火大会に行く約束をしていた。



「何してるの、奏穂!時間遅れちゃったら大変よ~!」



「分かってる!」



只今浴衣の着付けに苦戦中…。


こんなの普段は着ないし、思ったより難しい…。



「奏穂、大丈夫か?」



「か、海叶?!ノックくらいしてよっ!着替え中なんだから…っ」



なかなか姿を現さないあたしを不思議に思ったのか、海叶が部屋にやってくる。



「着付けに手間取ってんのか。やってやるから貸せ」



言うが早いがあたしの手から紐を奪い取り、綺麗に結んでいく。



「後ろに回さねーといけねぇから…それだけやれる?」



「こう?」



「ちょっと違う…。やっぱり俺がやるわ」



海叶が紐を通すためにあたしに近づく。


…って何かこれ、抱きしめられてるみたいで恥ずかしいよ…っ!



「はい、出来た。帯貸して、ついでにやってやる」



あたしの緊張なんてそっちのけに海叶は淡々と着付けをこなしていく。



「海叶って器用だよね…」



「別にフツーだろ」



「だって。普通の人は出来ないよ?こんなこと…」



「あー…小さい頃から母さんに教えられてたから。将来役に立つってさ」



「さすが成実さんだね…」



何だか女として、どうなんだろう…。



「ほら、出来た」



「ありがとう!海叶っ」



身につけた水色の浴衣を見て、微笑みを向ける。



「その色、似合ってる」



「本当?」



改めて前に立つ浴衣姿の海叶を見る。



「んなコトで嘘つかねーって」



「そっか、ありがとう。…海叶も似合ってるよ」



本当、思わず見惚れちゃいそうなほどかっこいいよ…。



「さんきゅ。じゃ行こーぜ」