冬恋~さいごの贈り物~


きっかけなんてない。


言葉で言い表すとするならそれはきっと''一目ぼれ''


この言葉が一番しっくりくると思う。


出会った頃の奏穂は瞳に''光''を宿してなかった。


深い闇の中にいるような、そんな孤独を感じた。


奏穂が心から笑えてない事なんてすぐに分かった。


それでも無理して明るく笑おうとする奏穂に俺はどうしようもなく惹かれた。


守ってあげたい。少しでも楽にしてあげたい。


気づけばそう思うようになっていた。


だけど奏穂の隣には…いつだって海叶がいた。


俺だってバカじゃない。


2人の固い絆を引き裂くことが出来ないなんてすぐに気づいた。


正直出会って3年…今までに一度だって俺の出る幕はなかった。


最初は伝えるはずだったこの想いも過ごしていくうちに隠すようになった。


この想いと同じくらい…


いや、それ以上に''仲間''が大事だったから。


俺は自分の気持ちを隠し通してきた。


俺たちにとってはそれが最善だと思ったんだ。


だけど好きという気持ちは諦めようと思って止められるものでもなく。


ただ1人胸に秘め続けている。


皆は勇気を振り絞ってヒミツを打ち明けてくれたのに俺だけ言えなくてごめんな…。


けど許してくれ。


何かの縁で集まった5人の仲間と、高校に入って更に濃くなった5人の絆を俺の手で壊したくないんだ。


崩したくないんだよ…


大切だから。大事だから。俺のせいでダメになって欲しくない。


我儘でごめん。ズルくてごめん。


伝えない代わりに想うことくらいは許してほしい。


勝手でごめんな、奏穂。


海叶がいる奏穂にとって俺は必要ないかもしれないけど。


これから先、何か辛い事が出来て海叶を頼れない時がもしあったとしたら。


その時は俺が必ず力になるから。奏穂を守ってみせるから。






だから俺を頼ってくれよ、奏穂──────────


















''その時''は意外にもすぐに訪れた。