「なに…?」
当たり前すぎて気づけなかった。
「俺も、奏穂がいてよかったと思ってっから。お前がいるから頑張ってこれた。それはこれからも変わんねぇ。サッカーの事、背中を押してくれてありがとな」
──────────好きだという気持ち。
あたしは今までにそういう気持ちを抱いたことがなかったから。
おかしいのかなって、
あたしはずっと''好き''という感情を知らないまま生きていくのかなって思ってたけど…
違ってた。そうじゃなかった。
あたしは皆より早く''恋''をしてたんだね。
近すぎる、
──────────幼馴染のキミに。
いつから、なんてそんな事は分からない。
だけどこれだけは言える。
「…サッカー頑張ってね。また応援行くから」
海叶はあたしにとって''初恋''で
「おう」
決して''叶うことのない想い''
だって海叶にとってあたしはただの幼馴染で。
それ以上でもそれ以下でもない。
そんなの分かり切ってる。だから…
「髪ありがとう。そろそろ寝よっか」
気持ちは伝えないよ。
海叶を困らせたくないから。
…なんて綺麗事だね。
本当は怖いから。
関係を崩してしまうのが。
海叶に背を向けられるのが。
だってまだあたしには、海叶なしで生きていける自信なんてない。
だからね
「そーだな。おやすみ」
そう言い海叶は部屋の明かりを消す。
急に訪れた静寂に、自分の想いの辛さを重ね涙が頬を伝う。
あたしは海叶にバレないよう、そっと彼に背を向けた。
ただの幼馴染でいい。それ以上は望まないから…
「奏穂?泣いてんのか…?」
「ふ…ぅ…。どうして、分かるの…?」
「分かるに決まってんだろ。我慢なんてすんなよ…そっち、行くから」
傍にいて。
傍にいさせてね、海叶─────
あたしを優しく包み込む海叶の腕の中、あたしはいつの間にか眠りについていた。



