冬恋~さいごの贈り物~


乾かすために座りなおした海叶の髪に丁寧にドライヤーの風を送る。



「俺より奏穂の方が断然さらさらだろ。つか綺麗だよな、お前の髪」



「全然っ!綺麗なんかじゃないよ。…はい終わり。ゲーム続けていいよ」



海叶の布団から降りようとしたあたしの前に海叶の手が差し出される。



「…え?なに?」



「ドライヤー貸せ。次はお前の番」



…もしかして、海叶があたしの髪を乾かしてくれるってこと?



「大丈夫だよ!あたしは海叶と違って髪も長いしその分時間もかかるし。自分で…」



「いーから」



強引にあたしの手からドライヤーを奪い取った海叶は、あたしに座るよう促す。


あたしはそんな海叶にしぶしぶ従った。


背中越しに海叶の存在を認識する、さっきとは逆の立ち位置。


乾かすより乾かされる方が少しだけ恥ずかしかった。



「熱くねーか?」



「うん…大丈夫」



髪に優しく触れる海叶の大きな手の温もりを感じ、言いようのない安心感を覚える。



「海叶…ありがとう」



「なんだよ?急に。おあいこだろ」



「ううん。今だけじゃなくて、これまでの事全部だよ。海叶がいなかったらあたしはここまで頑張ってこれなかった…」



あ…そうか、そういう事だったんだ。



「…座の皆さんの明日の運勢は絶好調!思わぬ人と恋に発展しちゃうかもっ?!」



「やべ、わりぃ。奏穂」



動いた拍子にどうやらリモコンを踏んでしまった様子の海叶。



「大丈夫だよ」



''恋''…か。ふと運勢を占うそのテレビに視線を向ける。


芽依やお母さんの意味深な言葉も。


最近おかしいと思ってたあたし自身も。


海叶だけに感じるこの安心感も。そう思えば納得できる。



「…奏穂」