冬恋~さいごの贈り物~


どうして奏穂はこんなにも優しくいられるんだろう…。


私が奏穂に声をかけたのは、友達になりたかったからじゃない。



「私は皆の気持ちを踏みにじってた。だから、優しくなんてしないで…」



私が奏穂に近づいた一番の理由。


それは…一番害がなさそうだったから。


人を信じられなくなった私は一番トラブルの起きなさそうな、大人しい奏穂を''友達''に選んだ。


中学に入ったばかりの頃の奏穂は正直すごく静かで、地味だった。


魂が宿っていないような、抜け殻のような瞳をしていた。


可愛いのにもったいないと、そう思ったのを覚えてる。


あの時の奏穂は確かにここにいるのに、まるで闇の中にいるような…そんな感じだった。


そしてそんな奏穂には、かいがいた。


いつだってどこに行ったって奏穂の隣には幼馴染のかいがいたんだ。


はたから見れば2人は完全に''ただの幼馴染''以上で。


仲良くなってもかいは絶対に私の事を好きになんてならない。そう確信した。


そうすれば奏穂と揉めることもないし、いじめられることもない。


奏穂に良い顔をしておけば1人になる事はない。



「人間不信になってしまった私にとって皆は…奏穂は都合がよかった。ただそれだけの為に私は皆にいい顔をして''親友''を名乗ってた…」



ただ…誤算だったのはりくとくうが加わった事。


かいもイケメンなのにそれに劣らず勝らずのりくとくうまで加わった時、私の頭には最悪のシナリオが浮かんだ。


そんなのはまた、悪夢の繰り返しだ。


だから私はその状況を逆手にとった。



「最初はかいと仲良くするつもりなんてなかった。だけど…りくとくうが加わって男子を突き放してた私は3人とだけ関わるようにした。最悪の事態を避ける為に。同じグループになって誰よりも早く仲良くなろうとした。周りに何も言われないように、先に仲良くなろうって思った」