冬恋~さいごの贈り物~


そんな私にとって今の唯一の楽しみは渚桜と過ごす時間だけ。


渚桜だけが心の支えだった。


渚桜がいたから私は普通でいられた。普通に過ごせた。


いじめなんてどうでもよかった。









渚桜がいたから、




私は強くいられたんだ────────────
















それなのに。



















────────────悪夢は突然に訪れる。




















ある日の放課後。


今日は渚桜と遊ぶ約束をしていた。


渚桜とちゃんと会話を交わすのは1週間ぶり。


高ぶる気持ちをおさえ、1人教室で待っていた。



─────15分後。



さすがに遅いと思い、教室を出た私は渚桜のクラスへ向かう。


見ると中には渚桜と…


女子数人の姿があった。



『…なぎ……っ』



『結局のトコさー、渚桜って芽依の事どー思ってんの?』



声をかけようとした私は咄嗟に息を潜めた。


理由は他でもない。私の話題だったから。



『わたしは…』



渚桜はゆっくりと口を開く。



『もしかしてとは思うけど、友達だとか言わないよね?そんな事言ったら渚桜も終わりってことくらいわかってるでしょ?』



そんな渚桜の声に被せるようにまた誰かが口を開く。


そんなばかげた質問…!



''やめてよっ!''



そう叫ぼうとした時だった。



『…芽依とは友達でも何でもないよ。ただ、可哀そうだから一緒にいてあげてるだけ…っ』



渚桜はゆっくり、だけどはっきりとそう言った。



──────ガタッ



動揺で足元がふらついた私は渚桜のクラスに繋がる扉にぶつかり音を立てる。


その音にこっちを向いた渚桜とばっちり目があった。


バツが悪いのか渚桜は慌てて視線をそらし、下を向く。


耐えられなくなった私は学校を飛び出した。



''友達でも何でもない''



なんて嘘だよね…?嘘に決まってるよね?









────────────渚桜…。






走り出した私の後を渚桜が追ってくる事はなかった。